山路明日太

私がはじめてロシア人に会ったのは、小学校高学年のころ,ヨーロッパへ観光旅行にむかった経由地がモスクワの空港だったためでした。そこで見たロシア人男性警備員は,背が高く,すらりとしており,とても背筋がよく,立ち姿が格好よくおもわれました。なかでも印象的だったのがその表情で,寡黙で厳格,ほとんど笑みを浮かべることがありませんでした。

のちに私は,ロシア語には「意味なく笑うのは馬鹿の証拠」という言い回しがあり,ロシア人の人間形成にもその考え方があらわれていることを知るようになります。厳格で寡黙なロシア人のイメージは,学生にアンケートをとったりすると,多くのひとがそのように書いてくれます。げんに私のイメージももともとはそうだったのです。

ですが実は,かれらロシア人はとても話好きで,原因があるときにはしょっちゅう大笑いします。家族や友達同士で行動しているようなとき,旅行中たまたま一緒になった人に笑い話を披露したりするとき,そのようなとき,かれらはみなさんの第一印象を覆すような,生き生きとして愛くるしい表情を見せてくれます。

基本的にロシア人は各々,とても個性的で,付き合うと本当に面白い,愛すべきひとたちです。授業をとおして,そうしたロシア人の興味ぶかい国民性も知ってもらえれば,嬉しいです。